スタンフォード式最高の睡眠
0章 「よく寝る」だけでパフォーマンスは上がらない
短時間睡眠の人は短命
「短時間睡眠の女性は肥満度を表すBMI値(体格指数)が高い」
- インスリンの分泌が悪くなって血糖値が高くなり糖尿病を招く
- 食べ過ぎを抑制するレプチンというホルモンが出なくなる
- 食欲を増すグレリンというホルモンが出る
- 交感神経の緊張状態が続いて高血圧になる
- 精神が不安定になり、うつ病、不安障害、アルコール依存、薬物依存の発症率が高くなる
睡眠という基礎があってこそ、食事やエクササイズの効果が上がる
「最初の90分」を深くせよ!
深い眠りの90分→浅い眠りのレム(急速眼球運動「Rapid Eye Movement」の頭文字をとった)睡眠→4,5回くらい繰り返す
グロースホルモン(成長ホルモン)が多く分泌されるのも、最初のノンレム睡眠が訪れた時:大人の細胞の増殖や正常な代謝を促進させる働きがある
「寝る時間がない」なら最初の90分の質を下げてはならない
1章 なぜ人は「人生の3分の1」も眠るのか
睡眠ミッション① 脳と体に「休息」を与える
睡眠ミッション② 「記憶」を整理して定着させる
睡眠ミッション③ 「ホルモンバランス」を調整する
睡眠ミッション④ 「免疫力」をあげて病気を遠ざける
睡眠ミッション⑤ 「脳の老廃物」をとる
2章 夜に秘められた「黄金の90分」の法則
・睡眠の質は最初の第一周期の質で決まる
長く起きていると眠りたい欲求「睡眠圧」が蓄積し、眠るとこの圧が第一周期で放出される。何時間寝ようが最初の90分が崩れれば、残りも総崩れになってしまう。
最初の90分が「黄金」になる3大メリット
- 寝ているだけで「自律神経」が整う
- 「グロースホルモン」が分泌する
- 「脳のコンディション」が良くなる
「体温」と「脳」に眠りスイッチがある
深部体温は日中高くて夜間低いが、手足の温度はその全く逆で、昼に低くて夜間高い
→スムーズな入眠に際しては深部体温と皮膚温度の差が縮まっていることが鍵
3章 スタンフォード式最高の睡眠法
入眠前→いったん皮膚温度を上げ、毛細血管から熱解放し、効率的に深部体温を下げる
入眠後→深部体温は下がり、皮膚体温は上がっている
- 覚醒時は体温を上げてパフォーマンスを上げる
- 皮膚温度を上げて熱解放すると、深部体温は下がり入眠する
- 黄金の90分中はしっかり体温を下げて、眠りの質を上げる
- 朝が近づくにつれて体温が上昇し、覚醒していく
睡眠のクオリティを上げる3つの「体温スイッチ」
①就寝90分前の入浴
深部体温は上がった分だけ大きく下がろうとする。皮膚温度と深部体温の差をより縮めることができる。
寝る90分前に入浴を済ませておけば、さらに深部体温が下がっていき、皮膚温度との差も縮まりスムーズに入眠できる。
すぐ寝るときはシャワー→深部体温が上がりすぎないように
②足湯に秘められた驚異の「熱放散力」
シャワーより効果的な即効スイッチは足湯。
「足湯」で足の血行をよくして熱放散を促せば、入浴と同等の効果がある。
靴下を履いたまま寝てしまうと、足からの熱放散が妨げられる。脱がない靴下は、眠りの助けにならない。
③体温効果を上げる「室温コンディショニング」
室温を整えておかないと、寝具のメリットを引き出せない。湿度が高すぎると発汗しなくなり、手足からの熱放散を妨げられ、眠りが阻害される。
脳の温度はレム睡眠の時に少し高くなる。休めるには温度を下げた方がいい。
入眠をパターン化する脳のスイッチ
①「モノトナス」の法則
モノトナス(単調な状態)にすることは、眠るための脳のスイッチ。寝る前の娯楽は頭を使わずにリラックスして楽しめるもの。「退屈」は普段あまり歓迎されないが、睡眠にとっては「良き友」。ブルーライトが危険なのではなく、スマホが危険。
②正しい羊の数え方
寝る前の運動はあまり真剣にやりすぎない方がいい。脳が能動的に活動するため。パッシブ(受け身)な状況が不可欠である。
カフェインが眠気覚ましになる→カフェインが人を眠らせるアデノシンの働きを妨害するため
強力に覚醒を引き起こす「オレキシン」という神経伝達物質は食べることにも関与している。オレキシンが欠乏することでナルコレプシーが引き起こされる。
入眠の直前には脳が眠りを拒否する「フォビドンゾーン(進入禁止域)」というものがある→「睡眠禁止ゾーン」
睡眠圧に対抗するシステムは、入眠直前に最高に強くなり、その後急速に活動が弱まって脳が睡眠モードになる。
■明日早い時の秘策
いつも通り寝て、睡眠時間を1時間削る方が、すんなり眠れて質が確保できる可能性が高い。「後ろにずらすのは簡単、前にずらすのは困難」
1日で楽にずらせる時間は1時間。
1時間早めに寝たいときはいつもより1時間早くお風呂に入って軽い運動を組み合わせて体温を作為的に上げる。
入眠定時
・眠りを促すホルモン、メラトニンは朝の光によって分泌が抑制され(覚醒)、夜になると分泌が促される
寝る前はブルーライトの影響力を強める行為(真っ暗な部屋でスマホを長時間見る、など)
4章 超究極!熟睡をもたらすスタンフォード覚醒戦略
覚醒のスイッチ①光
体温、自律神経、脳やホルモンの働きも、光がないとリズムが崩れて調子が悪くなってしまう。
覚醒のスイッチ②体温
覚醒時はしっかりと体温を上げてスイッチオンにしておく
覚醒戦略①アラームは「2つの時間」でセットする
スリープサイクルには個人差があり、それほど規則的でないため前もって予測できない
・ 1回目のアラームは「ごく微音で、短く」セットする
・2回目のアラームは1回目の20分後にセットする
1回目のタイミングで起きられれば、レム睡眠で起きられたということで目覚めが良い。起きられなければノンレム睡眠で深い眠りの真っ最中。
2回目のアラームは無理なく起きられる
5~7時くらいの時間帯であれば、生理的にレム睡眠が増えている
覚醒戦略②「眠りへの誘惑物質」を断捨離する
すぐに行動することでさらに体温のスイッチがしっかりオンになる。天気にかかわらず朝の光を浴びる。
覚醒戦略③「裸足朝活」で覚醒ステージを上げる
床に直に触れることで皮膚感覚を刺激して、上行性網様体を活性化させる。羅速で皮膚温度を下げ、サーカディアンリズムで自然に上がっている深部体温と皮膚温度の差をさらに広げる。
覚醒戦略④「ハンドウォッシュ」メソッドで目を覚ます
手を冷たい水で洗う。手を水につけることで、深部体温と皮膚温度の差を少しでも広げるのが狙い。朝風呂<朝シャワー
覚醒戦略⑤「咀嚼力」で眠りと記憶を強化する
朝食には、体温を上げ、1日のリズムを整えて活動を始めるためのエネルギー補給問いいう役割がある。朝食には「体内時計のリセット効果」と「肥満防止効果」がある。
覚醒戦略⑥とにかく「汗だく」を避ける
問題なのはあ体温が上がりすぎること。体温が上がりすぎると発汗による熱放散が起きて元の体温より下がる。早足のウォーキングの方がおすすめ。
覚醒戦略⑦「テイクアウト・コーヒー」で「カフェイン以上」を取り込む
健康な成人の2型糖尿病、肝臓癌、子宮内膜癌のリスクを減らす。血中のカフェイン濃度は半分になるまで約4時間かかる。
覚醒戦略⑧「大事なこと」をする時間を変える
頭を使う仕事、重要な仕事はできるだけ午前中に集中した方が賢明だ。
覚醒戦略⑨「夕食抜き生活」が眠りに響く
絶食すると「オレキシン」の分泌が促進されるが、食事をすればオレキシンの活動は低下し、覚醒度も落ち着く。夕食を食べないと、食欲が増大する上に、覚醒して眠れなくなる可能性が高い。「百害あって一利なし」
覚醒戦略⑩「夜の冷やしトマト」で睡眠力アップ&11 「金の眠り」になる酒を飲む
「ギャバ(GABA)」は抑制系の神経伝達物質のアミノ酸。睡眠時に活動する神経伝達物質で、睡眠導入効果や睡眠維持効果が期待できる。
5章 「眠気」を制する者が人生を制す
眠気
「まとまった長い覚醒を維持できない状態」
■うとうとした午後の眠気(アフタヌーンディップ)の原因
- 睡眠負債によって睡眠圧がましてくる
- サーカディアンリズムや90~120分でやってくるとされる「ウルトラディアンリズム」などの体内時計の問題
・朝目覚めが悪い理由
→慢性的に睡眠が足りず、「睡眠負債」を抱えていること。短い昼寝でもリフレッシュできない。
生活リズムの乱れは、そっくりそのまま睡眠リズムの乱れにつながる。
生物的にランチは午後に眠くなる原因ではない。
あまりに重い食事を取ると血糖値にも影響が出て、極端な場合はオレキシンなどの覚醒物質の活動を抑えてしまう可能性がある。
空腹時にはオレキシンの分泌も増え、覚醒度が上がる。
■睡魔に打ち勝つスタンフォード式「アンチスリーピング」メソッド
・会話は覚醒の強いスイッチ
・噛めば噛むほど目が覚める
・温かいものを飲めば、多少は体温が上がり覚醒度が上がる。
■世界のトップがやっている超一流の仮眠術
仮眠をとるなら20分程度。1時間以上昼寝する人は昼寝の習慣がない人に比べて認知症の発症率が2倍も高い。
週末はいつも通りを心がける。就寝時間はウィークデーと同じにするのがおすすめ。